子ども店長がプレッシャーをかけてくる。
週末など、息子氏たちが家にいる日。
酒蔵YUKAWAの営業時間が終わると、
彼らは店舗におもむろにやってくる。
「今日お客さんいっぱいきた?」
「今日の売上は〇万円超えた?」
「在庫が置いてないから商品補充できないよ?」
いやぁ、大人の会話をよく聞いている。
在庫?補充?よくそんな単語がスラスラ出てくるものだ。
さて、彼らにとって、
私たちの商売はどう映っているのだろうか。
自分の生まれた家が「お酒を造って売っている」家である、
という自覚は間違いなく持っている。
6歳4歳になったところだけれど、
欲しいおもちゃがありすぎて、
すぐに買ってとねだってくるので、
そのおもちゃを買うためには、
ちゃんとお金を稼がなくちゃなんだよ。
お米を買って、お酒を造って、
できたお酒をたくさん売って、
その売上から皆にお給料を払って、
それで残るお金が利益って言ってね。
会社の利益が出たら、ようやく、
おもちゃを買うお金が生み出されるんだよ。
なんて話しをしたからかしら?
それからというもの、子ども店長2名。
1日の店舗の売上チェックが厳しいったら。
私は家が商売をしている、お酒を造っているっていうことに、
誇りを持てたのは恥ずかしながら大人になってからだと思うし、
未就学児のうちから何かしら意識の中に根付いてくれていれば、
それは親としてはとても嬉しいことである。
若者に田舎(過疎地)へ来てもらおうと思えば、
いかに魅力ある企業があるかが重要だと思っていて、
過疎地からでも世界に向けて発信できたり、
日本全国や世界中からのお客様をお迎えできたり、
地域に特化した商品づくりができたり、
とにかくかっこよかったり、
理由は様々でも、そこに魅力と活力があれば、
若者はきっとやってきてくれると信じている。
息子氏たちが大人になって、
たちまち外の世界へ飛び立った後、
客観的に冷静に木祖村や湯川酒造店を見たときに、
「戻りたい」「継ぎたい」「未来がある」と思える、
魅力ある形を作っておく。
というのが、私の親としての目標のひとつ。
100年後の湯川家や会社や木祖村の姿を
自分の目で確かめることは当然できないのだから、
その通過点において、
自分自身に合格点があげられるように、
日々を過ごしていきたいと思う。
息子氏たちには決してプレッシャーをかけるつもりもなく、
彼らが主観的に「考える」ことができるよう、
彼らが何かに興味を持った時に、
伝えられることがあれば伝えるし、
できるだけ彼らの立場で言及しようと思っている。
とはいえ、
何も言わずとも、
かーちゃんとーちゃんかっこいいじゃん、
なんて思ってもらえれば、まずはよいのだろう。
子どもながらに見えているものがありそうで、
彼らの脳の中をのぞき見してみたい。