仕込みや貯蔵のタンクには通常、
写真のように『呑(のみ)』と言われる口がふたつ開いています。
要するに、タンクから醪やお酒を払い出す時の口なのですが、
呑を塞ぐ栓は現在ネジ式の二重構造になっているのです。
呑を切る(開ける)時は、写真の本器を取り付け、
レバーを回し呑の中央にある栓を抜くことでお酒を出すことが出来るのです。
ところで、今でこそ二重構造の呑と本器あるから、
タンクからお酒を払い出すのはとっても簡単な事なのですが…。
では、木桶だった昔は『呑切り』をどのように行ってたのでしょう。
今では当たり前に簡単に出来てしまっている事過ぎて、
疑問にも感じていなかったことなのですが、ふと杜氏に聞いてみたのです。
昔は、当然桶も呑も木でできていたので、
ただタンクに空いた穴に木の栓をしていた様な状態だったそうです。
お酒が入っていれば、当然その呑を抜いた途端にお酒がこぼれてしまいますよね。
ではどうやってお酒を払い出していたのか…。
ここがまた、酒造りの隠れた技術のひとつ!!!
ただの木の栓と、真ん中に穴の開いた木の栓を瞬時に付け替えるのだそうです。
タンクに入っているお酒は多ければ5,000リッターにもなったので、
当然呑口にかかる圧力も大きいですよね。
栓を抜いた途端にお酒がこぼれてしまうと思うのですが、
そこが技術で、要は穴の開いていない栓を抜いて、
その直後に穴の開いた栓を差し込む…というごく単純な作業。
穴の開いた栓と交換する瞬間に少しだけお酒が霧状に飛び散る程度で、
ほとんどこぼれることなく栓を交換したのだそうです。
う~ん、なかなか説明が難しくて伝わっていないかもなのですが…。
とにかく、何を言いたいかというのは、
『今でこそ当たり前のことも、昔は素晴らしき技術であった』と言うことですね。
現在うちの蔵では木桶も使っていませんし、
そんな原始的な栓も使っている蔵はほとんどないと思います。
と言うことは、必然的に栓を付け替える技術もなくなってしまった…と言うことで。
必要のなくなってしまった技術とは言え、残念なことに感じます。
酒を移動するのもホースとポンプの役目ですが、
昔は20Lの試(ため)に入れて肩に担いで運んでいたのです。
蒸米だってエアーシューターで飛ばすことが出来ますが、
昔はボテで担いで運んでいたのですね。
現在でも吟醸の仕込みや移動は昔と同じ様に行っていますが、
やっぱりかなり大変な作業です。
しかも、試だってボテだって、担ぐコツをつかまないと何倍もつらい作業なのです。
当たり前のことに溺れすぎて、
昔はどうしていたのかも知らずに作業をするのは、
本来のその作業や行動の意味が解らずに終わってしまうのかも知れません。
どんなことに対しても、
『何でだろう。』『昔はどうだったんだろう。』を感じながら取り組みたいですね。
◇◇◇試を担ぐのは、まず水で練習です(^^ゞ◇◇◇
◇◇◇お酒こぼしたら怒られちゃうよぉ…◇◇◇
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