2025年7月7日から1週間、
阿部長野県知事の木曽執務週間が始まりました。
知事には1週間木曽に滞在していただき、通常業務を行いながら、
地域の事業者や団体の視察や高校生との交流、
地域活性にかかわる協議会への参加など、
多数の意見交換の場を通じて、地域課題を把握して、
政策に生かしていただく機会となります。
湯川酒造店としては、初日に酒蔵YUKAWAの視察と
ランチミーティングでの意見交換会の機会を頂くとともに、
2日目には木曽地域リニア活用推進協議会のパネルディスカッションにて、
パネリストとして知事とご一緒させていただきました。
観光の視点からは、
地域に点在している価値(地域にとっては当たり前のものも含め)を
産業の枠を超えてどのようにつなぎ、そして広い世界へ向けて発信するか、
そのつなぎ役として酒蔵がどんな役割を果たせるのか、
私がいつもお話しする「酒蔵は地域インフラである」という
多面的な視点から酒蔵ツーリズムも含めてお話をさせていただきました。
農業の視点からは、
酒米づくりを起点とした中山間地の農業の復活は、
たぶん今がラストチャンスであり、
もちろん担い手問題など数多の課題はあれど、
大きな可能性があるのではないか、
夢をもって中山間地で米作りを行いたいという皆さんを
マネジメントする役割として、酒蔵は機能するのではないか、
そんなお話をさせていただきました。
いずれも言うほど簡単なことでもないし、
観光についてなんて、ようやく自分事として
色々と考え始めたばかりのことだし、
農業についてなんて、ド素人もいいところだし、
言うことばかりでかくて何もできないかもしれないけれど、
当事者のひとりとして課題を抱え、
100年先の未来を描くために地域とともに考え、
生き抜こうとする当社のスタンスは、
同様に地域への想いを強くする方々と共鳴することで、
牛歩ながらも確実に明るい未来へ進んでいけると確信しています。
パネルディスカッションでは、
Walk JapanのPaulさんのPaulさんともご一緒させていただきました。
Paulさんとはちょうど1年前に木曽で開催された「インバウンドの今とこれから」という
講演会で講師としていらっしゃっており、その意見交換会で初めてお会いをしました。
その中で「薮原、これからめちゃくちゃ動くし、地域が熱いです!」と、
参加された観光関係の皆さんの前で豪語してきた記憶が鮮明に残っています。
たった1年で、パネルディスカッションで横に座らせていただくことになり、
自信をもって伝えることは、実現への近道であるとも実感しています。
そして、これらの大前提として、
夫である杜氏と、素晴らしい技術をもった社員たちに任せている酒造りが、
盤石のものであることは申し添えておかねばなりません。
それは、自分たちが満足する、美味しいお酒が醸され続けていくことであり、
環境にとっても地域にとっても大きな意味を持つことでなくてはならず、
湯川酒造店が醸す酒が唯一無二であり続けるという、大前提があるのです。
こうして自分たちに常にプレッシャーをかけ続けている私たちですが、
その原動力は「地域の皆さんが誇りに思ってくださること」です。
私たちが醸すものは「地酒」ですから。
どれだけ世界に向けて発信しようが、
地域で愛されてこそ「地酒」なのです。
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とりあえず暑苦しく想いを語ってはいるけれど、
全ては自分自身の背中を迷いなく押し続けることが、
私にとって必要不可欠のことなのです。
全国にはイケイケの酒蔵さんがいくつもあります。
若くして石数を伸ばしたり、ブランディングが素晴らしかったり、
同じ10年社長やってて、どうしてこんなにも規模の差があるんだとか、
どうしてこんなにも経営力に差があるんだとか、
同じ業界だからこそ私も「そこ」に立ててたんじゃないかって、
勝手な引け目を感じることがないと言えば、嘘になります。
私の強みは、課題解決のプロセスに常に意味を持たせること。
と言ったらいいのでしょうか。
現状把握と原因分析、課題抽出、課題解決、
PDCAといえばそうかもしれませんが、
そのサイクルが長くても短くても、
すべてが同じベクトルを向いた中でぶれない判断ができること、
それは経営にとって基本の基だけれども、
ぶれないことが重要で、ようやく自信を持てるようになってきました。
だからこそ、自分たちの立ち位置に自信をもって、
一歩ずつ踏みしめていきたいと思います。